はじめに
「担当者が急に退職することになって、引継ぎが全然できていないんです…」
ある中小企業のオーナー様から、こんなご相談をいただいたのはつい最近のことです。長年、経理業務をひとりで担っていたベテラン社員が突然退職。経費精算のやり方も、旅費規程の詳細も、どこにあるのかすらわからない。会社の「お金まわり」が、完全にブラックボックスになってしまっていました。
これは決して珍しいことではありません。特に中小企業では「経理=あの人の仕事」という状態が長年続いてしまうケースが多くあります。今回は、そんな課題を私たちがどのように解決したか、そのプロセスをご紹介します。
どんな状況だったのか?
最初にヒアリングをしたとき、状況はかなり深刻でした。
- 経費精算のルールが社内文書としてまとまっていない
- 旅費規程はあるものの、内容が古くて誰も把握していない
- 月次の締め作業の手順が担当者の頭の中だけにある
- 新しい担当者が「何から手をつければいいか」まったくわからない状態
「仕組みがない」というより、「仕組みはあるが属人化していて機能していない」という状態です。こういうケースは、マニュアルをつくるだけでは根本解決になりません。業務の流れ自体を一度整理し直す必要があります。
私たちが取り組んだ4つのステップ
STEP 1|現状の業務を「見える化」する
まず着手したのは、現在の業務フローを洗い出すことです。退職予定の担当者にヒアリングしながら、「何を、いつ、どうやっているか」を細かく書き出しました。
頭の中にある作業を言語化するのは、思いのほか大変な作業です。「なんとなくこうしてきた」という経験則を、誰でも再現できる形に変換していく作業を、私たちが並走しながら進めました。

STEP 2|経費精算ルール・旅費規程を現代に合わせて見直す
業務を洗い出してみると、長年の「なあなあ運用」がいくつも出てきました。たとえば旅費規程は10年以上前に作られたもので、交通費の単価設定が現実と合っていなかったり、電子決済への対応が含まれていなかったりと、更新が必要な箇所が多数ありました。
経費精算のルールも同様です。「領収書の提出期限はいつまでか」「上限金額の承認フローはどうなっているか」こういった基本的なことが明文化されていませんでした。
私たちはクライアントの経営者様・新しい担当者様と対話しながら、現実に即したルールを一緒に作り直しました。「こうあるべき」という理想論ではなく、「この会社で無理なく運用できる形」を優先しています。

STEP 3|運用マニュアルを整備する
ルールが整ったら、次はそれを「いつでも誰でも参照できる形」にします。マニュアルと聞くと分厚い冊子を想像する方もいるかもしれませんが、私たちが大切にしているのはシンプルさと実用性です。
作成したマニュアルには次のような内容を盛り込みました。
- 月次の経費精算の流れ(フローチャート付き)
- 旅費規程の早見表(よく使うケース別にわかりやすく整理)
- 書類の保管場所と命名ルール
- よくある質問と対応方法
「使われないマニュアル」にならないよう、実際の担当者に試し読みしてもらいながら、わかりにくい部分を都度修正していきました。

STEP 4|Google スプレッドシートでシステム化する
最後のステップが、業務のシステム展開です。今回はGoogle スプレッドシート(Google Apps Script)を活用し、経費精算の入力・集計・承認フローをシステム化しました。
高価な専用ソフトを導入しなくても、Google のツールで十分に業務を効率化できます。特に今回のクライアント様のように「まず仕組みをつくりたい」という段階では、使い慣れたツールで小さく始めることが成功の近道です。
システム化によって実現したこと:
- 経費の入力フォームを統一(記入漏れ・記入ミスを防止)
- 提出→確認→承認の流れを自動化
- 月次レポートの自動集計
- 担当者が変わっても同じ操作ができる

やってみてわかったこと
一連の取り組みを終えて、クライアントの担当者様からこんな言葉をいただきました。
「前任者がいないと何もできないと思っていたけど、マニュアルとシステムがあれば自分でもできると自信が持てました」
属人化の解消は、単に「引継ぎがスムーズになる」だけではありません。新しい担当者が自信を持って業務に取り組めるようになる、という副次的な効果もあります。
まとめ
今回ご紹介した経理属人化の解決プロセスを振り返ると、次の4ステップに整理できます。
- 現状の業務を見える化する(ヒアリング・棚卸し)
- ルールを現代に合わせて見直す(経費精算・旅費規程)
- 誰でも使えるマニュアルを整備する
- Google スプレッドシートでシステム化する
「うちの会社も似たような状況かもしれない」と感じた方、ぜひ一度ご相談ください。まずは現状のヒアリングから一緒に整理していきましょう。
おまかせAIDXでは、経理・バックオフィス業務のDX支援を行っています。「何から手をつければいいかわからない」という段階からでも、お気軽にお問い合わせください。


